死亡した人の口座に預金がない場合、そのまま放置してもよいですか?
1 基本的には被相続人の口座は相続手続きをするべきです
お亡くなりになられた方(被相続人)の口座に預金が残っていない場合や、少額しか入っていない場合でも、相続人としては相続手続きを行う方が良いといえます。
金融機関によっては、一定期間口座が動いていない場合でも、相続人からの申し出がない限りは、そのまま口座が維持されてしまうケースがあります。
たしかに、残高が少ない預金口座の相続手続きをするのには手間がかかりますが、被相続人の口座が残ったままであると、後日預金保険機構の管理下に移されることがあるなど、複雑な状況下での管理を続けなければならなくなってしまう可能性があります。
そのため、被相続人お亡くなりになられた時点で、金融機関に連絡し、口座凍結と相続の手続きを行うことをおすすめします。
2 放置しても罰則はないが預金保険機構の管理に移されることがある
被相続人の口座に預金がない場合、特段の手続きをしなくても、法律上は何らかの罰が課されるということはありません。
預金の相続手続きについては、義務化はされていないため、相続人が手続きをしないこと自体が法令違反になることはないのです。
ただし、相続手続きをしないままでいる場合、金融機関において、休眠預金(長期間にわたり取引がない預金)として扱われる可能性があります。
2019年1月から施行されている休眠預金等活用法に基づき、10年以上入出金などの動きがない預金口座は休眠預金とみなされ、最終的には預金保険機構に移管されて、公益活動のために活用されることがあります。
この制度の対象となり得るのは、基本的に預金残高のある口座ですが、仮に口座にわずかな金額(数十~数百円程度など)が残っていた場合であっても、預金者やその相続人からの申し出がなければ、自動的に休眠預金として処理されることになります。
ただし、預金保険機構に移管された後でも、所定の手続きによって、相続人がその預金を引き出せることもあります。
このように、死亡した人の口座をそのままにしておくと、口座の管理が複雑化してしまいます。
したがって、預金がない、または少ないから相続手続きをしないままでよいと考えるのは望ましいとはいえず、早めに金融機関に連絡して必要な手続きを進めておくべきであるといえます。
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